こんにちは。レビュープロの近藤です。
前回の【前編】に引き続き、今回のブログでは、【後編】として、最近の動向を踏まえ、プレスリリース・メディアセミナーの注意点について解説いたいます。
さて、この記事を見ているあなたは、企業活動の一つである「プレスリリース」や「メディアセミナー(プレスセミナー)」に関して、具体的な注意すべき点について知りたいと思っている方ではないでしょうか?
【前編】に記載しました「最近の動向」として、プレスリリース・メディアセミナーと言えども、「プロモーション目的」すなわち「販売促進を期待して」行うと、「広告」の規制対象となることから、今後、この点については細心の注意を払っていく必要があることをお伝えしました。
たとえば、メディアセミナー開催後に、メーカーから一般紙への記事の掲載を依頼して金銭等を提供する場合、当該記事は広告の位置付けとなり、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(以下「販売情報提供活動ガイドライン」)他の関連法規の規制の対象になります。
また、「新製品」に関するメディアセミナー開催時に、メーカー側から「製品パッケージ写真」を積極的に提供するなどの「便宜供与」を行うと、一般向けの広告を率先して行っていると疑われかねません。
したがって、「製品パッケージ写真」などについては、報道関係者から求められた場合のみ提供すべきです。
プレスリリース・メディアセミナーの具体的な注意点は?
上記のプレスリリース・メディアセミナーに関する最近の動向を考慮すると、プレスリリース・メディアセミナーを通じて「広告」を行っていると誤解されないよう、以下の点について注意することが重要です。
- 未承認薬の商品名の掲載は絶対避けること
- タイトルは、キャッチコピーのような強調表現を用いないこと
- 自社品の有効性・安全性を強調する表現は避けること
- 他社品の誹謗・中傷表現はしないこと
- できるかぎり科学的又は医学的根拠に基づいたストーリー展開とすること
未承認薬の「商品名」の掲載は絶対避けること
プレスリリース・メディアセミナーなどでは、未承認薬の開発コード名や一般名の表記は問題ありませんが、承認取得前の商標登録済みの「商品名」の告知は、医薬品医療機器等法68条に抵触する可能性が高いため、「商品名」の表記は絶対避けるべきです。
タイトルは、キャッチコピーのような強調表現を用いないこと
たとえば、後期第三相試験結果のタイトルを「〇〇を対象として、2つの△△製剤を初めて直接比較した臨床試験において <未承認自社品名>が<承認済み他社品名>に対し有意に高い臨床的寛解率を達成」のように、既存品に対する自社開発品の優位性を強調し、センセーショナルなキャッチコピーのようにタイトルを表示すると、承認取得後の「販売促進を期待して」プレスリリース・メディアセミナーを実施し、その期待度を高めようとしていると疑われかねません。
したがって、見出しやタイトルは、単に「〇〇試験の結果について」とし、キャッチコピーのように「結果」を示して強調する表現は避けるべきです。
自社品の有効性・安全性を強調する表現は避けること
コンテツン内において、製品の訴求が強すぎると、上市後の「販売促進を期待して」情報提供を行っているととられかねません。
情報提供にあたっては、最大級の強調表現は避けて、できるかぎり淡々としたトーンで行い、あくまでも「ターゲットとなる疾患の治療に貢献していきたい」旨で実施するのが望ましいと思います。
他社品の誹謗・中傷表現はしないこと
コンテンツ内に他社製品に対する誹謗・中傷、たとえば他社品の具体的な有害事象の発生率や懸念事項などを記載する行為は、「販売促進を期待して」広告を行っていると疑われかねないことから、プレスリリース・メディアセミナーの内容としては避けるべきです。
できるかぎり科学的又は医学的根拠に基づいたストーリー展開とすること
プレスリリース・メディアセミナーのコンテンツは、正確性を担保するため、原著論文や公的文書、医学専門書を多用するなど、出来る限り「科学的又は医学的根拠」に基づいたストーリー展開とするべきです。
ただ、すべてのコンテンツについて必ずしも科学的根拠が求められる訳ではありません。
ただし、原著論文や公的文書等以外からの情報が含まれる場合は、できれば専門医の解説を主体とし、できる限り正確性の高い「事実ベース」でコンテンツを展開するのが望ましいと思います。
次回の【プロモーション資材審査Q&Aシリーズ】では、Vol.5「アンケート調査はプロモーションか?」ついて解説いたします。
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