こんにちは。レビュープロの近藤です。
今回のブログでは、いつものプロモーション資材の話題ではなく、ノンプロモーション資材の一つである「疾患啓発活動」について解説をいたします。
さて、この記事を見ているあなたは、「疾患啓発活動」の最近の傾向とその対策について知りたいと思っている方ではないでしょうか?
平成30年(2018)に公表された「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(以下「販売情報提供活動ガイドライン」)では、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関するQ&Aについて」(平成31年2月20日)において、疾患啓発活動に関するQ&Aを掲載しました。
本Q&Aの趣旨として、一般人に対して、広告の3要件(*注1)に該当せず、医薬品等適正広告基準に従って行う疾患啓発活動でも、「疾患啓発を装って投薬治療をことさらに推奨するなどのおそれもあり、製品名を出さないなど、広告該当性の判断が難しい広告類似行為であっても、『販売促進を期待して』顧客誘引性を包含するものについては、本ガイドラインの対象になる。」としています。
このQ&Aが発信された後、医薬品メーカー各社は一斉に疾患啓発活動を中止しました。
最近においては、疾患啓発活動を再開するメーカーも散見されるようになりましたが、現在でも疾患啓発活動を取りやめたままのメーカーもあります。
ただ、「販売情報提供活動ガイドライン」では、疾患啓発活動が「販売促進を期待して」顧客誘引性を包含するものは、本ガイドラインの規制の対象になるとしていますが、疾患啓発活動自体を禁止しているわけではありません。
「販売情報提供ガイドライン」の規制の対象とならない「疾患啓発活動」は、以下の点を考慮する必要があります。
- 特定の医薬品を明示または暗示しない形で、専ら疾患にのみフォーカスする
- 狭い領域の希少疾患では、製品と容易に結びついてしまうような疾患啓発記事は避ける
- 疾患啓発活動の実施時期や医療関係者へのアプローチでは、誤解されないように注意する
特定の医薬品を明示または暗示しない形で、専ら疾患にのみフォーカスする
疾患啓発活動では、広告の3要件のうち、自社医薬品の「特定性」と「顧客誘引性」が含まれないよう、疾患に関する公平で中立的な記事に徹することが重要です。
たとえば、疾患啓発記事の中の「治療編」おいては、特定の自社医薬品を強調して推奨したり、他社製品の誹謗・中傷表現などが含まれないようにすべきです。
狭い領域の希少疾患では、製品と容易に結びついてしまうような疾患啓発記事は避ける
希少疾患の疾患啓発活動では、自社医薬品の「特定性」と「顧客誘引性」に結びつかないよう、たとえば自社医薬品の適応症と同一の狭い範囲の疾患啓発記事は避け、一段階大きなレベル(疾患領域)で実施すべきです。
疾患啓発活動の実施時期や医療関係者へのアプローチでは、誤解されないように注意する
自社の承認前の医薬品の領域についても、自社医薬品の「特定性」と「顧客誘引性」が含まれないよう注意して疾患啓発を行うことは可能です。
ただし、疾患啓発活動の開始時期によっては、たとえば承認申請の直後に、疾患啓発活動を展開し、医療関係者へのアプローチを活発化させると、承認前の事前プロモーションを展開していると誤解を招きかねませんので、そのような行為は厳に慎むべきです。
*注1)「広告の3要件」(平成10年9月29日付け医薬監第148号 課長通知)
医薬品等の情報提供は、以下の「広告の3要件」を満たした場合、広告とみなされる。
- 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昴進させる)意図が明確である(顧客誘引性)
- 特定医薬品等の商品名が明らかにされている(*注2)(特定性)
- 一般人が認知できる状態である(*注3)
*注2)商品名には一般名も含まれる *注3)一般人には医師・薬剤師も含まれる
次回の【プロモーション資材審査Q&Aシリーズ】では、Vol.3「資材に掲載できる観察研究とは?」について解説いたします。
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