こんにちは。レビュープロの近藤です。
医薬品・医療機器のプロモーション資材審査等の業務を取り扱っています。
さて、この記事を見ているあなたは、「資材化できる臨床論文」の具体的な見極め方について知りたいと思っている方ではないでしょうか?
自社品関連の原著論文を選択して資材化する場合、以下の点をあらかじめ点検する必要があります。
- 使用されている自社品が国内の承認の範囲内か。
- 事前に規定された解析計画に基づく解析結果であるか。
- 論文が査読を経たものであるか。
- 利益相反が確認できるか。
使用されている自社品が国内の承認の範囲内か。
「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインについて」(平成30年9月25日)(以下「販売情報提供活動ガイドライン」)では、「提供する医療用医薬品の効能・効果、用法・用量等の情報は、承認された範囲内のものであること。」としていることから、資材化する自社品の使用データは、すべて承認の範囲内であることが求められます。
ただし、原著論文内の使用データがすべて承認の範囲内である必要性はなく、原著論文内に承認外の使用データが含まれていたとしても、資材化する使用データが承認の範囲内であれば、問題はありません。
事前に規定された解析計画に基づく解析結果であるか。
たとえば、承認申請に向けて実施された新薬の臨床試験の解析計画にはない「事後のサブグループ解析」による臨床論文は、その結果の多くが探索的な解析にとどまるものと判断されます。
その為、製薬協の「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領(解説付き)」(以下「製品情報概要等作成要領」)では、「臨床試験において、当初より試験計画に記載されたものでかつ科学的妥当性のある場合を除いては、サブグループ解析の結果を記載しないこと。」としています。
したがって、サブグルーブ解析結果を利用する場合は、当初より計画されている必要があります。
論文が査読を経たものであるか。
「販売情報提供活動ガイドライン」では、「提供する情報は、科学的及び客観的な根拠に基づくものであり、その根拠を示すことができる正確な内容のものであること。」とし、「その科学的根拠は、元データを含め、~中略~、又は第三者による適正性の審査(論文の査読等)を経たもの(承認審査に用いられた評価資料や審査報告書を含む。)であること。」としています。
したがって、「資材化できる臨床論文」は査読付き原著論文である必要があります。
査読を経ているかどうかについては、当該雑誌の投稿規約等により確認することができます。
他方で、いわゆる「総説」は、通常、査読を経て雑誌に掲載される訳ではないので、自社品の臨床データの出典にすることはできません。
利益相反が確認できるか。
「販売情報提供活動ガイドライン」では、「社外の調査研究について、その調査研究の実施や論文等の作成に関して医薬品製造販売業者等による物品、金銭、労務等の提供があった場合には、その具体的内容も明記されたものであること。」としています。
さらに「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関するQ&Aについて」(平成31年2月20日)(以下「販売情報提供活動ガイドラインQ&A」)では、「自社との利益相反関係が確認できない論文の使用は差し控えるべきである」とされており、引用文献の自社との利益相反(COI:conflict of interest)の有無を確認することは、資材化において欠かせない作業となっています。
確認の結果、自社が当該試験に対して何らかの協賛をしている場合、その旨を書誌事項に併記する必要があります。
一方、自社からの協賛金等がないことが確認できた場合は、その旨の記載は必要ありません。
ただし、社内的には、引用文献に自社からの協賛金等がないことを確認した結果は記録にとどめておくことをお勧めします。
次回の【プロモーション資材審査Q&Aシリーズ】では、Vol.2「資材に掲載できる臨床試験成績とは?」について解説いたします。
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